神道の考え方では、生命は人が神から借りているもので、いずれ神に返すべきものです。生命を返すと死が訪れますが、神道式での葬式にあたる神葬祭は、故人を家の守護神にするための儀式です。ご先祖様に家を守ってもらうという祖先崇拝はもともと神道の考え方です。神葬祭が神社で行われることはほとんどありませんが、これは神の聖域に穢れを持ち込まないようにするためと言われています。神道では故人を家に留めて守護神になってもらうための儀式を行いますが、まずは遷霊祭(せんれいさい)で故人の霊魂を霊璽(れいじ)に移します。その後葬場祭(そうじょうさい)で穢れを清め、故人が家の守護神としてまつられます。神棚封じ(かみだなふうじ)は神棚や祖霊舎の扉を閉じて白い紙を貼る行為で、神棚や祖霊舎に穢れが触れないようにする行為です。五十日祭で忌明けとなり、翌日から普段通り、神棚をお祀りすることになります。一般参列者が葬儀マナーとして知っておくべきなのは、玉串奉奠(たまぐしほうてん)です。キリスト教式の献花によく似ていますが、故人への手向けのために、榊の枝に紙垂をつけた玉串を神に捧げます。これは自分の心を玉串にのせてささげることで、故人の霊を慰める儀式です。自分の番が来たら神主から玉串を両手で受け取り、遺族に一礼して祭壇に進みます。玉串を自分の真正面に立てるようにして持ち、時計回りに回転させて根元を祭壇側にします。玉串を捧げ、二礼した後「しのび手」(音を立てない手打ち)で二拍し、一礼します。そのまま数歩下がってから遺族に一礼し、自分の場所に戻ります。
葬儀マナーとしては、数珠は使わないことを覚えておきましょう。香も焚きませんが、場合によっては親族も数珠を持ったり、線香を焚くことを希望したりする場合もあるので一概に言えません。服装の葬儀マナーは特別変わった点はないので、仏教と同じく礼服を着用すれば問題ありません。小物も黒で合わせてアクセサリー類は結婚・婚約指輪以外極力着用しないのが基本です。